NEXT21を設計する/塚口明洋建築研究室

住宅・集合住宅・病院・高齢者施設の設計 ,住まい教育

NEXT21を設計するにあたって
Reality-Unidentified                      
『SD別冊』掲載

 NEXT21の中に、ジャグジーバスを持つ「ホームパーティーの家」を設計するという話があった時、すぐに思い浮かんだのは、二っのことがらです。一つは、ルイス・バラガンのギラルディ邸に見られる水を室内にとり込んだ空間構成で、もう一つは、ピーター・グリナウェイの「プロスペローの本」に見られるように、ローマ人の風呂好きを暗示するような中庭のプールを中心とする出来事です。
 建築を狭い意味で機能的にとらえてみても何も見えてきません。ちょっと現実離れしながらも、何か以前にも出会ったことのあるような場所。そんな場所をつくり出すことができればとても幸せな気分になれます。
フェリーニの映画に見られるように、どこにでもある街の、どこにでもいそうな人の、どこにでもありそうな出来事をとりあげながら、何かなつかしさと新鮮な驚きを感じずにはいられない、そんなイメージを作り出すことができたなら、どんなに素敵だろうか。未来型実験集合住宅の中でテーマを与えられた時、そんなことを考えながらデザインを進めました。そうしてできあがった大きなジャグジーバスのある空間。室内に水を取り込んでみて、もっとも気にいっているところはシュールな雰囲気をだせたことです。
 ここで2月の末に、妻のプロデュースによる24人ほどのワインパーティを経験する機会がありました。家は一人一人がその空間を経験することによって抱くイメージの総体だと恩います。また、そこに複数の人が訪れた時に、それそれが出演者であり、観察者でもあるような演劇的空間が現出することがあります。家を、建築をデザインすることは、この二つの空間を創造することではないでしょうか。ワインパーティの最中、ちょっと酔いも回って、人々が家の中を行き来する頃になると、この家は、僕が思っていた様々な出来事を演ずる舞台のように生き生きとしてくるのを、感じました。